名文メモブログ#政治と文学

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探し人

大学生のとき、死ぬことばかり考えていた時期がある。味もよくわからなかった。そのときに書き殴った手記を最近、たまたま見つけた。22歳の私はどう考えても限界だった。 手記を見つけて、カウンセリングの先生にお礼を言いたいと思った。しかし相談を受けて…

素晴らしき一日

私は文芸部、というものが嫌いだ。各々が己が作品を描き、見せ合い、交換し、果ては文芸誌を編んで、外部に発表すらする。なんておぞましい行為! 物を書くことは花色の犯罪だから。 同じ頃、僕はひっそり誰にも見せることなく、腹のなかを駆けずり回る言葉…

アニメ「よりもい」のひねくれ考察ー愛情への回帰とSNSの切迫感

とある人の勧めでアニメ「宇宙よりも遠い場所」(以下よりもい)を見た。恥ずかしながら私は今までよりもいの存在を知らなかった。 「宇宙よりも遠い場所」とは南極を指す。女子高生4人が南極観測隊に参加するという目標を立て、困難を乗り越えつつ成長する…

オペラ《マノン・レスコー》と死について

オペラ《マノン・レスコー》を見た。 プッチーニが起死回生をかけてつくりあげた作品である。 恋と政治劇が絶妙に組み合わされた《トスカ》、カルチェ・ラタンを舞台にした《ラ・ボエーム》、儚く死ぬ日本人女性を扱った《蝶々夫人》といった名作を手がけた…

落合陽一さんの個展に行って

先日、しとしとと雨の降る中、落合陽一さんの「質量への憧憬」展に足を運びました。 ものすごくデジタルネイチャーに関心があるわけでもないけれど、巷で有名な人の個展に行けるなら行こうかなぐらいの気持ちでした。 とても良かったです。この個展だけで判…

1920年代の再来

日経新聞で次のような記事が出されました。 「信頼できる」は自衛隊がトップ 本社郵送世論調査 「…逆に「信頼できない」が多かったのは国会議員で唯一5割を超えて56%だった。マスコミ(42%)、国家公務員(31%)が続いた。いずれも20歳代以上で「信頼できな…

中学受験をしてよかったこと

以前「裕福な虐待」ということで中学受験についてややネガティブな記事を書きました。予想以上に多くの方に読んでいただき「あぁ中学受験って興味を持っている人が多いんだなぁ」と実感しました。そこでネガティブなことを書きすぎたというちょっとした反省…

これはブログだが、私の部屋でもある。散らかってるが入りたければ勝手に入ってくれ

民衆の側が自ら武器を持つ、…いつでも権力者に向けられる、という事態になりますと、事情は一変いたします。政治という仕事は、…暴力的な決済を避ける…ことが、その本来の機能と考えられるようになるからであります。しかも、思想の自由を保障しなければなり…

おもしろくて受験や勉強に役立つ漫画(倫理・法律・世界史)

今回は少し趣向を変えて受験や勉強に役に立つ漫画を紹介します。 ①「ここは今から倫理です」 Amazon.co.jp: 今からここは倫理です 「倫理は学ばなくても将来、困る事はほぼ無い学問です」 「地理や歴史の様に生活する上で触れる事は多くないし 数学の様な汎…

文学を読むこと、総括的に、だらりと

僕は中学生のとき詩をつくっていた。東京の騒擾と活気とは対照的な、微笑的で穏やかで、そして気づかないうちにゆっくりと衰退してゆく自然豊かな地方都市で育った。なだらかな山脈の一筋一筋に日が当たり、そしてその先に空と瀬戸内海が青く光る街。 そんな…

裕福な虐待(中学受験)

ツイッターで「東大を舐めているすべての人たちへ」というnoteが爆発的に読まれています。 https://note.mu/tonoike0604/n/n611642c5f61c 東大受験の過程もそうですが、中学受験とそれに付随する親の虐待に関心が集まっているように思います。地獄の蓋を開け…

流れて、さ。

マルテの手記を読んだ。見ることに徹した若者は何者にも見られることなく、歩くやうに流れる。流れて。ゆく。 言葉が泳ぐ姿だけ感じて、生きたい。ぼうっとする春の風光とか、秋の風の中に含まれる静けさとか、真っ赤な陽を握り潰して飛び散った午前四時とか…

話題の「日本国紀」を読んでみた。

ジュンク堂池袋店の入り口に「日本国紀」が平積みにされていました。 本当は神島裕子先生の「正義とは何か」(中公新書)を買いに来たのですが、ちょっと読もうかと思い大正〜昭和前期のところだけ立ち読みしました。 まず感想としては「あれ?思ったより大…

村上春樹と福沢諭吉

福沢諭吉。 思想家。慶應唯一の「先生」。1835年に生まれ、1901年に没する。「一身にして二生を経るが如く、一人にして両身あるが如し」ともいうべき人生を歩んだ。奇しくも明治維新を迎えた1868年のとき、福沢は33歳。そして亡くなったときは66歳。江戸を33…

大学生のための政治入門⑤自民党史

今回は前回の続きです。派閥というものに注目しながら自民党史を紐解くというのが今回の記事の目的です。 ⑥佐藤栄作と沖縄返還 佐藤内閣は政治基盤としてかなり強い内閣だったといえるでしょう。約7年8ヶ月(2798日)という最長記録を出します(現首相の…

大学生のための政治入門④自民党の歴史(前編)

自民党総裁選で安倍さんが勝ちましたね。 総裁選は自民党のなかでの選挙なので自民党の党員にしか投票権はありませんが、実質的には総理を決める選挙なので注目度が高いですね。 さて永きにわたり政権を維持している自民党ですが、その自民党の歴史について…

新潮45を読んで

本当は自民党史について書くつもりだったが、時事に乗っかって新潮45を読んでみた。一つ、気になったことがあったからである。 小川榮太郎氏の「政治は『生きづらさ』という主観を救えない」というタイトルである。このタイトルに引っかかり近くの図書館で新…

三島・太宰・ヘミングウェイ・フィッツジェラルド

「僕は太宰さんの文学はきらひなんです」(「私の遍歴時代」三島由紀夫) 三島由紀夫と太宰治はわざわざ説明する必要もないだろう。日本を代表する人気作家である二人が対照的な作家であったことは興味深い。 僕が今回書きたいのは二人の作家の文学論ではなく…

大学生による大学生のための政治入門③

前回まで「保守とリベラル」「自分の頭で考える」ということを述べてきたので、今回は僕なりの情報収集手段について述べたい。 読書面と行動面の二つに分けてお話しする。 【読書】 ①複数の新聞を読む。 新聞を読むだけでなく、複数の新聞を比較しながら読む…

母を殺すということ・自由について【文学】

【小説「マイケル・K」を読む】 作家クッツェーは南アフリカのケープタウンで生まれのヨーロッパ系白人です。 2003年にノーベル文学賞を受賞し、現在も精力的に作品や文芸批評を書いている作家です。 このクッツェーの「マイケル・K」という小説について「母…

大学生による大学生のための政治入門②間違ってもええんちゃう?

政治といえば選挙である。選挙とは我々国民が議員たちを雇ったり、解雇することができる絶大な権利だ。多くの議員たちはこの選挙にふるえている。 僕はとある国会議員のインターンを数ヶ月したことがあるが、議員さんとはほとんど会えなかった。議員さんは常…

そんなに政治を難しく考えなくてええんちゃう?大学生による大学生のための政治入門

僕は政治が大好きである。勘違いしてほしくないが安倍政権が好きとか特定の議員が好きとかではない。また週刊誌が追いかけるような政治ゴシップも関心の外だ。 話はそれるがゴシップと言えば昭和の政治家に豪傑・三木武吉という人がいた。その人は妾が何人も…

風花という語について、身体と自然(随筆)

皆さんは「風花」という言葉をご存知だろうか。広辞苑によれば「晴天にちらつく雪。風上の降雪地から風に送られてまばらに飛来する雪。」とあり、冬の季語である。 いくつか風花の句を挙げると 風花や湯気にまかれて牛の腹 中西夕紀 美し(うるわし)の塔に…

鬼ごっこ(短編小説)

商談の日が来てしまった。朝、仕事に行くとき、玄関を開けるときは背筋を伸ばす癖がある。背に芯をスッと入れる。肩を怒らせる。気合いを入れる。憂鬱だからこそ頑張ろう。 これは戦争だ。正念場だ。踏ん張りどころだ。僕の営業マンとしての価値が決まる。 …